採用動画のトレンド 短い動画と長い動画をどう使い分けるか

「最近の採用動画は、どんなものが多いのだろう」「縦型の短い動画を作った方がいいのか」。採用動画を考え始めると、こうした疑問が出てきます。

結論から言うと、いまの採用動画の流れは、大きく次の2つです。

  1. 短く、縦向きで、スマートフォンで気軽に見られる動画が増えている
  2. 作り込んだ映像より、社員の素顔や職場のふだんの様子を見せる動画が好まれている

ただし、流行っている形をそのまままねても、うまくいくとは限りません。大切なのは、見る人が「いま採用のどの場面にいるか」に合わせて、短い動画と長い動画を使い分けることです。この記事では、いまのトレンドを整理したうえで、使い分け方と、取り入れる順番を説明します。

採用動画のトレンドが変わってきた背景

採用動画の形が変わってきたのには、いくつかの理由があります。

まず、情報の集め方が変わったことです。仕事を探す人の多くは、求人サイトだけでなく、SNSやYouTubeでも会社のことを調べます。特に若い世代は、文章を読むより動画を見て判断することに慣れています。スマートフォンで、すき間時間に、縦向きのまま見る。この見方に合わせて、動画の形も変わってきました。

次に、求人票だけでは会社の違いが伝わりにくいことです。給与や休日、仕事内容といった条件は、似たような会社が並びがちです。そうなると、応募する人は「どんな人が働いているのか」「職場の雰囲気はどうか」で比べようとします。こうした情報は、文字より動画の方が伝わりやすいものです。

そして、入社後のギャップを避けたい気持ちが強くなっていることです。きれいに作られた映像よりも、ふだんの職場の様子や、社員の本音が見える動画の方が信頼されやすくなっています。入社後のギャップについては採用ミスマッチの原因と対策でくわしく書いています。

いまの採用動画のトレンド 6つの形

上位の記事や最近の採用動画を見ると、よく取り上げられる形は次の6つにまとめられます。

縦型の短い動画(ショート動画)

30秒から1分ほどの、縦向きの動画です。TikTok、Instagramのリール、YouTubeショートなどで流れてくることを前提に作られます。最初の数秒で興味を持ってもらうことが大切で、テンポよく、字幕をつけて、音を出さなくても内容が分かるように作るのが基本です。

会社のことをまだ知らない人に「こんな会社があるんだ」と気づいてもらう役割に向いています。一方で、短い分、会社のことを深く理解してもらうのには向きません。

社員の一日に密着する動画

ひとりの社員の出社から退社までを追いかける動画です。朝の準備、仕事中の様子、お昼休み、同僚とのやり取りなど、ふだんの一日をそのまま見せます。台本どおりに話すインタビューよりも、仕事のリアルが伝わりやすいのが特長です。

「この会社に入ったら、自分はどんな一日を過ごすのか」を想像してもらうのに向いています。

社員が自分で撮る動画(Vlog)

社員が自分のスマートフォンで、職場の様子や仕事の合間を撮る動画です。Vlogは「動画の日記」のようなものです。作り込みは少ないですが、そのぶん「本当の職場」という感じが出ます。続けて出していくことで、会社の雰囲気が少しずつ伝わっていきます。

座談会・クロストーク

複数の社員が、テーマに沿って話し合う動画です。ひとりで話すインタビューより、肩の力が抜けた本音が出やすくなります。「入社前に不安だったこと」「仕事で大変なこと」など、ひとりでは話しにくいことも、同僚と一緒なら話しやすくなります。社員同士の関係の良さも、自然に伝わります。

社長・経営者のメッセージ

会社の考え方や、これから目指していることを、社長が自分の言葉で話す動画です。特に社員数が多くない会社では、社長の人柄や考え方が会社選びの大きな判断材料になります。立派な話をする必要はなく、「なぜこの仕事をしているのか」「どんな人と一緒に働きたいか」を率直に話すことが大切です。

選んで進む動画・AIを使った動画

見る人が知りたい内容を選びながら進められる動画(インタラクティブ動画)や、生成AIを使って説明部分を作る動画も話題になっています。おもしろい取り組みですが、仕組みづくりに手間や費用がかかることもあります。1本目から取り入れるより、基本の動画がそろってから検討しても遅くありません。

また、最近は動画を倍速で見る人も多いため、間延びする部分を減らし、字幕で要点が分かるように編集することも、形を問わず大切になっています。

短い動画と長い動画は、どう使い分けるか

トレンドの記事では、短い動画が注目されがちです。ですが、短い動画だけで採用がうまくいくわけではありません。短い動画と長い動画は、役割が違います。

  • 短い動画(30秒〜1分ほど): 知ってもらう、興味を持ってもらう。SNSや求人広告で、まだ会社を知らない人の目に留まることが役割です
  • 中くらいの動画(1分〜3分ほど): ほかの会社と比べるときの材料。仕事内容や職場の雰囲気、会社の特長を、ひととおり分かってもらいます
  • 長い動画(5分以上): 応募や入社を決めるための材料。社員の一日の密着、座談会、社長の話など、じっくり見てもらうことで不安を減らします

見る人は、会社のことを知り、比べ、応募し、面接を受け、入社を決めるという順に進んでいきます。この流れのどこにいるかで、知りたいことも、動画を見るのに使える時間も変わります。会社を知ったばかりの人に10分の動画を見せても見てもらえませんし、入社を迷っている人に30秒の動画を見せても判断の材料になりません。

3つの場面で考えると、作るべき動画が見えてくる

LINOXIA Plusでは、採用動画を「応募を検討する場面」「面接の前後」「入社後」の3つの場面に分けて考えることを大切にしています。トレンドの形も、この3つの場面に当てはめると、どれを作ればよいかが見えやすくなります。

応募を検討する場面: 短い動画と、仕事の一日

求人を見て応募を迷っている人や、SNSで会社を知ったばかりの人に向けた場面です。ここでは、縦型の短い動画で興味を持ってもらい、そこから1分〜3分ほどの「仕事の一日」や職場紹介の動画へつなげます。短い動画の最後に、採用ページや長い動画への案内を入れておくと、興味を持った人が次に進みやすくなります。

面接の前後: 座談会と、社長の話

面接に来る人、面接を終えて迷っている人に向けた場面です。ここでは長めの動画が役に立ちます。座談会で先輩たちの本音を見てもらったり、社長のメッセージで会社の考え方を知ってもらったりすることで、「この人たちと働きたいか」を判断する材料になります。面接の案内メールや、内定のあとの連絡に動画のリンクを添える使い方もあります。内定から入社までの期間については内定辞退防止の進め方にまとめています。

入社後: 仕事の手順と、先輩の声

入社したばかりの人に向けた場面です。トレンドとして語られることは少ないですが、仕事の手順の動画や、先輩が「入社したころに困ったこと」を話す動画があると、聞きにくいことを自分で確かめられます。受け入れる側が同じ説明を何度もくり返す手間も減ります。

この3つの場面の考え方は、採用動画を使う3つの場面でもくわしく書いています。

人も予算も限られた会社が、トレンドを取り入れる順番

すべての形を一度にそろえる必要はありません。社員数が多くない会社なら、次の順番で考えると無理がありません。

  1. まず、いちばん困っている場面を決める: 応募が少ないのか、面接のあとに辞退されるのか、入社後に辞めてしまうのか。困っている場面によって、最初に作る動画が変わります
  2. 1回の撮影で、長い動画と短い動画の両方の素材を撮る: 社員の一日や座談会を撮るときに、縦向きの短い動画に使える場面も一緒に撮っておくと、撮影を何度もしなくて済みます
  3. 長い動画から短い動画を切り出す: 3分や5分の動画の中から、印象的な一言や場面を30秒ほどに切り出せば、SNS用の短い動画になります
  4. 社員が撮る動画は、続けられる範囲で: Vlogのように社員が撮る動画は、続けて出すことで効いてきます。担当者ひとりに任せきりにせず、無理のない頻度を決めておきます

撮影の進め方や構成の型は、採用動画の作り方 5つの手順と、そのまま使える構成の型にまとめています。

トレンドを取り入れるときに気をつけたいこと

最後に、トレンドを追いかけるときに気をつけたいことを3つ挙げます。

  • 流行りの形を目的にしない: 「ショート動画が流行っているから作る」ではなく、「この場面のこの人に、これを伝えたいから作る」と考えます。目的が決まっていない動画は、どこで使えばよいかも分からなくなります
  • 良いところだけを並べない: 明るく楽しい場面だけを集めた動画は、入社後のギャップの原因になります。大変なところも含めて正直に見せる方が、合う人に選ばれやすくなると考えられます
  • 作って終わりにしない: 動画は、置く場所を決めて、見てもらうところまでが仕事です。採用ページ、求人票、面接の案内、入社の準備など、どこで使うかを先に決めておきます

まとめ

いまの採用動画の流れは、縦型の短い動画が増えていることと、作り込んだ映像より社員の素顔や職場のふだんの様子を見せる動画が好まれていることの2つです。具体的には、縦型の短い動画、社員の一日の密着、社員が撮るVlog、座談会、社長のメッセージなどがよく取り上げられています。

ただし、トレンドは「どれを作るか」を決めるものではありません。見る人が「応募を検討する場面」「面接の前後」「入社後」のどこにいるかを考え、短い動画で知ってもらい、長い動画で判断の材料を渡す、という使い分けが大切です。

LINOXIA Plusでは、採用の流れを聞かせていただいたうえで、どの場面にどんな動画を置くとよいかの整理から、構成・撮影・編集までをお手伝いしています。1回の撮影で長い動画と短い動画の両方を作る進め方もご相談いただけます。内容は採用向け動画制作のページをご覧ください。「何から作ればいいか分からない」という段階でも、いま困っていることを聞かせていただければ、一緒に整理します。

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