採用ミスマッチの原因と対策 入社後のギャップを減らすために入社前に見せておくこと

「せっかく採用したのに、すぐに辞めてしまった」「面接ではよさそうだったのに、入社してみると合わなかった」。こうした採用ミスマッチに悩む会社は少なくありません。

結論から言うと、採用ミスマッチの多くは、入社前に会社が見せていたものと、入社後に本人が目にしたものの差から生まれます。対策の中心は、次の3つです。

  1. 誰に来てほしいのか(採用基準)をはっきりさせる
  2. 良いところだけでなく、大変なところも入社前に見せておく
  3. 入社後の数か月を、ひとりにしない

この記事では、ミスマッチの種類と原因を整理したうえで、入社前と入社後にできる対策、そして「入社前に何を見せておくとよいか」を順番に説明します。

採用ミスマッチとは 入社前の期待と入社後の現実のズレ

採用ミスマッチとは、会社と入社した人のあいだで、お互いの期待と現実がずれている状態のことです。会社から見ると「期待していた働きができない」、入社した人から見ると「聞いていた話と違う」という形で表れます。

ミスマッチには、いくつかの種類があります。

  • 仕事内容のズレ: 思っていた仕事と、実際に任される仕事が違う
  • 労働条件のズレ: 残業の多さ、休みの取りやすさ、給与の上がり方などが、思っていたものと違う
  • 人間関係のズレ: 上司や先輩との距離感、チームの雰囲気が合わない
  • 社風のズレ: 物事の決め方、仕事の進め方、大切にしている考え方が合わない
  • スキルのズレ: 会社が期待していた力と、本人の力に差がある

ミスマッチは、早期離職(入社して間もない時期に辞めること)という形で目に見えることが多いですが、辞めないまま力を発揮できずにいる、という形で続くこともあります。どちらも、本人にとっても会社にとってもつらい状態です。

採用ミスマッチが起きる原因

よく挙げられる原因を、会社側から見て整理すると、主に次の4つにまとめられます。

会社が伝えている情報が少ない、または良いことに偏っている

求人票や採用ページには、どうしても良いことが並びがちです。応募を集めたい気持ちから、仕事の大変さや職場の課題を書かずにおくと、入社後に「こんなはずではなかった」と感じさせる原因になります。

また、情報が少なすぎると、応募する人は足りない部分を自分の想像で埋めます。その想像が現実と違えば、それもズレになります。

誰に来てほしいのかが、社内でそろっていない

社長、現場の責任者、採用担当で、「来てほしい人」の考えがばらばらなことがあります。面接官ごとに見るところが違うと、ある人は「経験」を、別の人は「人柄」を重く見て、結果として会社に合わない人を採用してしまうことがあります。

面接の印象だけで決めてしまう

面接は短い時間で、お互いに緊張しています。話し方が上手な人、第一印象のよい人が高く評価されやすく、実際の仕事に合うかどうかまでは見えにくいものです。面接官が自分の感覚だけで判断していると、評価がぶれやすくなります。

入社後のフォローが足りない

入社してすぐの時期は、仕事も人間関係も分からないことだらけです。誰に何を聞けばよいか分からないまま放っておかれると、小さな不安が積み重なり、「この会社は自分に合わない」という気持ちにつながります。入社前のズレが小さくても、入社後の受け入れ方でズレが大きくなることがあります。

採用ミスマッチが会社にもたらすこと

ミスマッチは、辞めた人の問題だけでは終わりません。会社には、次のような影響が出ます。

  • 採用にかけた費用と時間が無駄になる: 求人広告や紹介手数料、面接に使った時間、入社後の教育にかけた時間が、すべてやり直しになります
  • 現場の負担が増える: 教える役の社員の時間が取られ、欠員が出ればその分の仕事をほかの人が受け持つことになります
  • 残っている社員の気持ちが下がる: 新しい人が続けて辞めると、「また辞めるのでは」と受け入れる側も疲れてしまいます
  • 会社の印象に響く: 口コミサイトやSNSで、入社後のギャップが書かれることもあります

だからこそ、「採用して終わり」ではなく、「入社後に力を発揮してもらうところまで」を採用の仕事と考えることが大切です。

入社前にできる採用ミスマッチ対策

採用基準をはっきりさせ、社内でそろえる

まず、「どんな人に来てほしいか」を言葉にします。必要な経験やスキルだけでなく、どんな考え方の人なら会社になじみやすいか、逆にどんな人には向かないかまで書き出しておくと、判断がぶれにくくなります。書き出したものは、面接に関わる人全員で共有します。

面接の質問と評価のしかたをそろえる

面接官によって聞くことが違うと、比べられません。全員に同じ質問をし、同じ物差しで評価する面接のやり方を「構造化面接」と呼びます。すべてを型にはめる必要はありませんが、「必ず聞く質問」と「評価の目安」を決めておくだけでも、印象に頼った判断を減らせます。

良いところと大変なところの両方を伝える

入社前に、仕事の良い面だけでなく大変な面も正直に伝える考え方を「RJP(リアリスティック・ジョブ・プレビュー)」と言います。忙しい時期、きつい作業、まだ整っていない仕組みなどを先に伝えておくと、入社後に「聞いていた話と違う」と感じにくくなります。

大変なことを伝えると応募が減るのでは、と心配になるかもしれません。ただ、それを知ったうえで応募してくる人は、入社後のギャップも小さくなりやすいと考えられます。合わない人が自分から応募を控えることも、ミスマッチを減らす一つの形です。

面接以外で、会社を知ってもらう機会をつくる

選考とは別に、気軽に話をするカジュアル面談、職場の見学、現場の社員と話す時間などを用意すると、応募する人が会社の実際の姿にふれられます。面接では聞きにくい質問も、こうした場なら出てきやすくなります。

中途採用で特に気をつけたいこと

中途採用では、前の会社でのやり方や経験があるぶん、「前の会社ではこうだった」という比べる軸を持って入社してきます。仕事の範囲、任せる責任の大きさ、評価のされ方、使っている道具や仕事の進め方など、前の会社との違いが出やすいところは、具体的に伝えておくと安心です。会社が期待していることを、入社前に言葉で伝えておくことも大切です。

入社前に「見せておく」とよいこと 3つの場面で考える

ここまでの対策に共通するのは、「入社後に見えるものを、できるだけ入社前に見せておく」ということです。LINOXIA Plusでは、採用の流れを「応募を検討する場面」「面接の前後」「入社後」の3つに分けて、場面ごとに見せるものを決める考え方を大切にしています。

応募を検討する場面: 仕事の一日と、大変なところ

求人を見て応募を迷っている人に見てほしいのは、「実際にどんな一日を過ごすのか」です。朝から夕方までの流れ、一緒に働く人の様子、仕事の大変なところと、それをどう乗り越えているか。ここで現実に近い姿を見せておくと、合う人が応募しやすくなり、合わない人は応募の前に気づけます。

面接の前後: 一緒に働く人の顔と声

面接の前には、面接をする人や配属先の先輩がどんな人かを見せておくと、緊張がやわらぎ、本音で話しやすくなります。面接のあとには、面接では伝えきれなかった職場の雰囲気や、入社後に任せたい仕事の中身を見てもらうと、入社を決める判断の材料になります。内定から入社までの期間にできることは、内定辞退防止の進め方でもくわしく書いています。

入社後: 最初の数か月の不安を減らすもの

入社後には、社内の決まりごと、よく使う道具の使い方、先輩たちの「入社したころに困ったこと」などを見られるようにしておくと、聞きにくいことを自分で確かめられます。何度も同じ説明をする手間も減ります。

文字より動画が向いているもの

求人票や採用ページの文章で伝えられることもたくさんあります。一方で、職場の空気、人の話し方や表情、仕事中の音や動きは、文字ではなかなか伝わりません。こうした「入社してみないと分からなかったこと」を先に見せる手段として、採用動画が役に立つ場面があります。

動画を作るときも、良いところだけを集めた動画ではミスマッチは減りません。大変なところも含めて、正直に見せることが大切です。作り方の手順は採用動画の作り方 5つの手順と、そのまま使える構成の型、3つの場面の考え方は採用動画を使う3つの場面にまとめています。

入社後にできる採用ミスマッチ対策

入社前にどれだけ準備をしても、ズレをゼロにすることはできません。入社後に小さなズレを早めに見つけて、大きくなる前に手を打つことも大切です。

  • 受け入れの準備をしておく(オンボーディング): 入社した人が早く職場になじみ、力を発揮できるようにする受け入れの取り組みのことです。最初の1週間、1か月で何を覚えてもらうかを決め、席や道具、教える人を入社前に用意しておきます
  • 相談役をつける(メンター): 直属の上司とは別に、気軽に相談できる先輩をつけると、上司には言いにくい小さな悩みも出てきやすくなります
  • 定期的に一対一で話す(1on1): 上司と本人が、短い時間でも定期的に話す場を持ちます。仕事の進み具合だけでなく、「入社前に思っていたことと違うところはないか」を聞くと、ズレに早く気づけます
  • ズレを見つけたら、入社前の伝え方を見直す: 入社した人が「ここが思っていたのと違った」と感じたことは、次の採用で入社前に伝えるべきことの手がかりになります

最後の点は特に大切です。入社後に聞いた声を、求人票や面接での説明、採用ページに戻していくことで、次に入ってくる人とのズレを少しずつ減らせます。

まとめ

採用ミスマッチは、入社前に会社が見せていたものと、入社後に本人が目にしたものの差から生まれます。原因は、情報が少ないことや良いことに偏っていること、採用基準が社内でそろっていないこと、面接の印象だけで判断していること、入社後のフォローが足りないことなどです。

対策としては、採用基準と面接のやり方をそろえ、良いところと大変なところの両方を入社前に伝え、入社後の数か月をひとりにしないことが基本になります。そのうえで、「応募を検討する場面」「面接の前後」「入社後」の3つの場面ごとに、何を見せておくかを決めておくと、伝えもれが減ります。

LINOXIA Plusでは、採用の流れを聞かせていただいたうえで、どの場面で何を見せるとよいかの整理から、採用動画の構成・撮影・編集までをお手伝いしています。内容は採用向け動画制作のページをご覧ください。「動画を作るかどうかはまだ決めていない」という段階でも、入社後のギャップに悩んでいることを聞かせていただければ、一緒に整理します。

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