内定辞退防止の進め方 辞退が起きる理由と内定から入社までに伝えること
内定を出したのに、断られてしまう。せっかく時間をかけて選考したのに、と落ち込む採用担当の方は多いと思います。結論から言うと、内定辞退を防ぐいちばんの近道は「入社後に働く姿を、本人がはっきり思い描ける状態をつくること」です。辞退の理由はさまざまですが、その多くは「よく分からないまま決めるのが不安」という気持ちにたどり着きます。
この記事では、内定辞退が起きる理由を整理したうえで、選考中・内定を出すとき・内定から入社までの3つの時期に分けて、会社ができることをまとめます。最後に、辞退が出てしまったときの振り返り方も紹介します。
内定辞退はなぜ起きるのか
内定辞退とは、会社が内定を出したあとに、応募した人がその内定を断ることです。内定を受けると返事をしたあとに辞退する場合もあります。
辞退の理由は、新卒と中途で少し違います。
新卒の場合
新卒の学生は、何社も同時に受けていることがほとんどです。第一志望の会社から内定が出れば、ほかの会社は断ります。また、社会に出た経験がないぶん、「この会社で本当にやっていけるのか」という漠然とした不安を抱えやすく、家族や友人のひと言で気持ちが揺れることもあります。
中途の場合
中途の人は、今の仕事を続けながら転職先を探していることが多く、給与や役職などの条件をよく比べます。今の会社から引き止められて残ることもあります。仕事の中身やキャリアの見通しがはっきりしないと、「今の会社にいたほうが安心だ」と考えやすくなります。
共通する理由
新卒と中途に共通するのは、次のような理由です。
- 仕事の中身や働き方のイメージがわかない
- 職場の雰囲気や、一緒に働く人の様子が分からない
- 選考中の対応(返事の遅さ、説明の分かりにくさ)に不安を感じた
- 条件や待遇に納得できなかった
- ほかの会社のほうが志望度が高かった
このうち、ほかの会社との比較や条件の差は、すぐには変えられないこともあります。けれども「イメージがわかない」「雰囲気が分からない」「対応が不安」は、会社の伝え方しだいで小さくできる部分です。内定辞退防止は、ここから手をつけるのが現実的です。
選考中にできること:信頼をつくる
内定辞退は、内定を出したあとに突然起きるように見えます。けれども実際は、選考中の小さな不安が積み重なった結果であることが少なくありません。選考中に気をつけたいのは、次の3つです。
返事を早く、予定をはっきり伝える
面接の結果や次の予定の連絡が遅れると、応募した人は「自分は大事にされていないのでは」と感じます。結果が出るまでの日数をあらかじめ伝えておくだけでも、不安は小さくなります。
良いところだけでなく、大変なところも話す
仕事の大変な部分を隠したまま内定を出すと、あとで知ったときに気持ちが離れます。忙しい時期、きつい作業、まだ整っていない仕組みなども、正直に伝えておくほうが信頼につながります。入社前に現実をありのまま伝える考え方は、採用の世界では「RJP(リアリスティック・ジョブ・プレビュー)」と呼ばれています。
面接を「会社を知ってもらう場」にもする
面接は、会社が応募者を選ぶ場であると同時に、応募者が会社を選ぶ場でもあります。質問するだけで終わらず、応募者の疑問に答える時間をとると、「ちゃんと向き合ってくれる会社だ」と感じてもらいやすくなります。
内定を出すときにできること:なぜあなたなのかを伝える
内定の知らせは、ただの通知ではありません。応募した人にとっては、会社が自分をどう見ているかが分かる大事な場面です。
採用した理由を言葉にする
「選考の中で、あなたのこういうところが良いと思いました」「この部署で、こんな役割をお願いしたいと考えています」と、採用した理由を具体的に伝えます。自分が必要とされている理由が分かると、入社を前向きに考えやすくなります。
条件はできるだけ早く、はっきり示す
給与や勤務地、勤務時間などの条件は、早めに書面で示します。求人に書いた内容と食い違いがあると、それだけで不信感につながります。分からない点を気軽に質問できる窓口も、あわせて伝えておきます。
面談の場を設ける
内定を出したあとに、条件の説明や質問に答えるための面談(オファー面談)を設ける方法もあります。配属先の上司や先輩が同席すると、「誰と働くのか」が具体的になります。
内定から入社までにできること:会えない期間を埋める
内定から入社までは、新卒なら数か月、中途でも1〜2か月ほどあくことがあります。この期間は、会社と本人が顔を合わせる機会が少なくなり、不安がふくらみやすい時期です。内定辞退防止の取り組みとしてよく挙げられるのは、次のようなものです。
- 社員座談会:年の近い社員と気軽に話せる場をつくる
- 社内見学:実際の職場や、働く人の様子を見てもらう
- 内定者どうしの懇親会:同期になる人とのつながりをつくる
- 社長や役員との交流:会社の考え方や、これからの方向を直接伝える
- 定期的な連絡:社内の近況や、入社までの予定を知らせる
どれも、本人が「この会社で働く自分」を思い描けるようにするための取り組みです。ただ、社員の少ない会社では、こうした場を何度も開くのは大変です。遠方に住んでいる人や、今の仕事が忙しい中途の人は、足を運ぶこと自体が負担になります。
短い動画で「会えない時間」を補う
そこで役に立つのが、短い動画です。たとえば、次のような動画を用意しておくと、内定から入社までの間に何度でも見てもらえます。
- 配属先の先輩が、仕事の一日を紹介する動画
- 上司が「最初の1か月はこんなことをしてもらいます」と話す動画
- 職場の様子や、休憩の過ごし方が分かる動画
- 社長が、内定者に向けて会社の考え方を話す動画
動画は、懇親会や社内見学の代わりではありません。会える機会が少ない分を補い、本人が家族に会社のことを説明するときの材料にもなります。
LINOXIA Plusでは、採用動画を使う場面を「応募を検討する場面」「面接の前後」「入社後」の3つに分けて考えています。内定辞退防止にかかわるのは、このうち「面接の前後」と「入社後」です。面接の前後の動画は、選考中の不安を小さくし、入社後(内定から入社まで)の動画は、会えない期間の不安を小さくします。3つの場面については採用動画を使う3つの場面でくわしく紹介しています。
動画をつくるときに気をつけること
内定者向けの動画で大切なのは、きれいに見せることより、普段の職場をそのまま見せることです。台本どおりの言葉より、社員がいつもの言葉で話しているほうが、見る人は安心します。また、長い1本の動画より、知りたいことごとに分けた短い動画のほうが、すき間の時間に見てもらいやすくなります。採用動画の良い点と注意点は採用動画のメリットとデメリットにまとめています。
内定辞退が出たときにすること
どれだけ準備をしても、内定辞退をゼロにすることはできません。大切なのは、辞退が出たときに、次の採用に生かすことです。
感謝を伝え、最後まで丁寧に対応する
辞退の連絡を受けたら、まずは選考に時間を割いてくれたことへの感謝を伝えます。最後まで丁寧に対応しておけば、将来また縁がつながることもありますし、会社の評判を守ることにもつながります。
理由を聞いて、記録に残す
答えてもらえる範囲で、辞退の理由を聞きます。「どの時点で迷い始めたか」「何があれば決めやすかったか」を聞いておくと、改善の手がかりになります。聞いた内容は記録に残し、何人分か集まったところで見返すと、共通する理由が見えてきます。
選考の流れ全体を見直す
理由がはっきりしたら、選考の流れのどこで不安が生まれていたのかを見直します。連絡が遅かったのか、仕事の説明が足りなかったのか、職場の様子が伝わっていなかったのか。原因によって、打つ手は変わります。
よくある質問
内定辞退は、どのくらいの人数なら普通ですか
業種や職種、採用する人数、時期によって大きく変わるため、一概には言えません。他社の数字と比べるより、自社の去年と比べて増えているか減っているか、どの時期に辞退が多いかを見るほうが、打つ手を考えやすくなります。
内定者への連絡は、どのくらいの頻度がよいですか
連絡が多すぎると負担になり、少なすぎると不安になります。月に1回ほど近況を知らせ、入社が近づいたら手続きや初日の予定を早めに伝える、というように、時期に合わせて変えるのがおすすめです。
小さな会社でも、内定者フォローはできますか
大きなイベントを開かなくても、採用した理由を伝える、質問に早く答える、配属先の先輩と話す機会をつくる、といったことは小さな会社でもすぐに始められます。会える機会が少ない場合は、短い動画で職場の様子を伝える方法もあります。
まとめ
内定辞退の多くは、「入社後の自分が思い描けない」という不安から生まれます。選考中は返事を早くして大変なところも正直に話し、内定を出すときは採用した理由を言葉にし、内定から入社までは会えない期間の不安を小さくする。この順番で手をつけると、無理なく続けられます。
LINOXIA Plusでは、面接の前後や内定から入社までに使う動画を、使う場面の設計から撮影・編集までお手伝いしています。内容は採用向け動画制作のページをご覧ください。今の選考の流れのどこで辞退が起きているのか、一緒に整理するところからでもご相談いただけます。
